馬路村特集 高知県安芸郡馬路村
 
■馬路村エントランス
 夏である。待ちに待っていた夏であり、暑い夏である。夏と言えば「どこに行きます」なんて会話もあたりまえに聞かれる。
 暑い夏と言うとこのごろよくお世話になるのが、冷房と氷の入った冷たい飲み物。これがまた「おいしい!!」 暑い外から戻ると、製氷皿の氷を音を立てて取りだしコップに入れてから、冷蔵庫の中にある飲み物を取り出し注ぐ。満たされた冷たいそれを一気に喉を通りすぎたときの心地よい瞬間がその音とともに響く。
 子供の頃のことを思い出すのは、そんなときである。今やゲームに登場するほどのその空間、逆にもう見られない日本人の心の中だけの風景とも言えるかもしれない。今の日本で普段見る風景は、綺麗に整備された公園であり、そこまでの道が広く整備され、何処にでもあるコンビニエンスストアと、そしてそっと目をやると自動販売機が当たり前の様に鎮座している。観光地と呼ばれるところに行っても広い駐車場にはバスが止まり、おみやげ物屋が軒を連ねている。何処に行ってもそれがあたりまえの風景にすら見えてしまう。
 雑踏を離れたつもりで、何故か雑踏の中にいる自分がいる。
 細い道には車もそれほど見られず、昔の様にとんぼが群れで飛びまわり、虫篭と網を持っては振りまわし捕まえ興じていた頃。帰ってくると広い土間に足を投げ出し、冷たいジュースを飲んでいた。自然に触れている毎日が発見であり、毎日が楽しかった。知っている人には懐かしく、知らなくてもその世界に魅力を感じてしまうのではないだろうか。
観光地でそんなものが一切無く、沢山のとんぼが飛び、川遊びもしてみる風景はもはや日本には残っていないのだろうか・・・。
 そんな疑問を持ちつづけ、いろいろな場所に北へ南へ旅行したが、やはり時代の波は昔あった全てをかき消してしまっている。何処に行っても変わり映えのしない「コンビニ」や「自動販売機」を嫌という程見せつけられる。

 そんな中で、「今」という雑踏の時代をふとかき消してくれたのが、この馬路村であった。不思議とタイムスリップしたかのようなこの村には、今を感じさせるものがなく、時代に取り残され不便に思えるが、逆にそれがこの「馬路村」の魅力になっていたのだ。
【馬路村へ】
 
この記事は「アトラスタウン」による馬路村の記事です。リンクされる他の企業・団体様とは何ら関係はありません。
 Copyright© 2001-2006 AtlasTown All rights reserved. 写真文章の無断使用・複製を禁じます